買い付け証明書・売り渡し承諾書の効果

みなさんこんにちはスマカフェの高橋です

今回は買い付け証明書・売り渡し承諾書の効果についてのお話です

■買い付け証明書・売り渡し承諾書の効果

買付証明書とは、不動産の売買において買い受け希望者が当該物件を買い受ける意思があることを表明する書面のことをいいます。これに対し、売渡承諾書とは、買い受け希望者に対して当該物件を売り渡す意思を表明する書面のことをいいます。 買付証明書は、買い受け希望者が買い受け希望金額と条件等を記載して、この条件であれば契約を締結することが可能であるとの意思を明確にする趣旨の書面です。

これに対し、売渡承諾書は、売主が売り渡し価格と条件等を記載して、この条件であれば契約を締結することが可能であるとの意思を明確にする趣旨の書面です。不動産取引の実務では、当事者双方は買付証明書、売渡承諾書を交付した後に、詳細な条件を詰めて売買契約を締結することが少なくありません。

宅地建物取引においては買い付け証明書・売り渡し承諾書の交換では売買契約が成立したとはいえないとするのが一般的な考え方ですが、売買契約が成立しない場合であっても、それまでの交渉経緯から、相手方が契約の成立が確実であると通常考える場合において、当事者が契約を一方的に拒絶し、それによって相手に損害を与えた場合は「契約締結上の過失」として信頼利益の損害賠償責任が認められる場合もあります。

売渡承諾書や買付証明書の交付によって売買契約が成立したか否かについて裁判で争われる例がありますが、裁判所はその書面の交換が行われたとしても、いまだ売買は成立しないと判断する傾向にあります。その理由は、売渡承諾書は当該物件を売ってもよいという意思を表明した書面にすぎず、買付証明書も購入の希望を表明したものにすぎず、当事者の意思として売買の合意が確定的に認められるとはいえないのであります。


ただ、契約自体が成立しなくても、契約締結の準備段階に入った者同士は、互いに相手方に不測の損害を与えないという信義則上の義務があり、信義則に反するような形で突然契約締結を拒否した者は相手方に対し信頼利益の損害責任が生ずると解されています。

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